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更新日:2024年9月1日
切らずに治す口腔がん
口を含んだ顔、顎、頸部にかけての炎症、外傷、腫瘍などの病気の診断及び治療を行っています。虫歯や入れ歯や歯周病などの歯科的疾患は、原則として当科では扱っていません。
当科の最も得意とするところは口腔がんの治療です。口腔がんに対し、従来から行われているような外科的手術による切除療法ではなく、切らずにがんを治す治療法を得意としています。具体的には局部に放射線療法を実施するとともに、血管内治療(IVR)の技術を応用し、腫瘍を栄養している目的の動脈だけに抗がん剤を投与する超選択的動注化学放射線療法を実施しています。また、症例に合わせ、血流改変術を併用することで、抗がん剤の効果をより高くします。治療成績は累積5年生存率が約80%と、手術をしていないにもかかわらずかなりの高成績です。当科のこの治療法は、学会などでもかなり認知されています。また、口腔がんに対し、この治療法をおこなえる施設は日本でもほとんどありません。
最近では周術期の口腔機能管理にも力を入れています。周術期の口腔機能管理とは、手術前後の期間に口腔内の衛生状態を良くすることにより、手術後の合併症の軽減や入院日数の短縮ができるといわれています。当院で手術予定の患者さんには、入院前に当科を受診していただき口腔内の清掃状態の改善とともに、動揺歯の固定や口腔内装具の作成などを行っています。
当科で扱う疾患の中で最も多いものは智歯(親知らず)の抜歯です。通常、智歯は斜めにはえたり半分だけ埋もれたりするため、虫歯や炎症を起こしやすく抜歯が必要になります。受診当日に智歯の抜歯希望のある患者さんには、可能なかぎりその要望に応えるように心がけています。また、入院が必要になりますが鎮静法を併用し、ほぼ無意識下の状態での抜歯手術も可能です。当院では4人に1人が入院下で鎮静法での抜歯を行っています。
デンタルインプラント治療も行っています。通常のインプラント埋入手術や上部構造作成だけでなく、骨増生や上顎洞に対してサイナスリフト術も行っています。ただしこれらのインプラント治療は保険診療ではありませんので、すべて自費扱いです。
救急医療につきましては、常時待機制をとることにより、顎顔面の外傷や炎症などの急性疾患に対応しています。