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更新日:2024年9月1日
脳卒中治療は発病からの時間が勝負です
脳卒中には脳の血管が詰まる脳梗塞、脳の血管が破れる脳出血・くも膜下出血があります。脳卒中患者全体の約80%を占める脳梗塞の急性期治療では、治療ガイドラインでグレードA(行うように強く推奨する)とされるものが、発症後4時間30分以内に適応があるrt-PA静注療法です。脳神経内科では2009年から積極的かつ系統的に本治療を行い、現在まで10年間で700例以上に施行しています。手足の麻痺や痺れ、喋りにくさなど比較的症状の軽い場合には、rt-PA治療は非常に効果的で、症状はほぼ改善・消失し、多くの患者が自宅退院されています。一方で、意識が悪く手足の麻痺も強く、言葉を発することの出来ない重症の脳梗塞患者(ノックアウト型脳梗塞)では、後遺症のためにリハ病院への転院が必要となります。
脳梗塞rt-PA治療は、脳血管の末梢枝閉塞の患者には非常に有効であるものの、内頚動脈や中大脳動脈起始部、脳底動脈といった主幹部閉塞の患者にはその効果に限界があります。発症間もない患者にはまずrt-PA治療を行い、効果が十分得られないと判断すれば、脳血管内治療専門医によるカテーテルでの血管内治療(血栓回収療法)を適宜行っています。またrt-PA治療が何らかの理由でできない場合、ないしは発症後4時間30分以上が経過している場合には、血栓回収のみ施行することもあります。このように患者の後遺症を少しでも減らすために急性期治療を行っています。
脳梗塞は脳神経内科、脳出血とくも膜下出血は脳神経外科で対応していますが、入院管理していく上で、手厚い看護や病初期からのリハビリテーションが後遺症の軽減に有効です。発病間もない脳卒中患者には脳卒中ケアユニット(stroke care unit:SCU)での管理が効果的であり、当院では、2019年9月から6病床の運用を開始しています。