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更新日:2026年7月9日

頸椎椎間板ヘルニア

頸椎椎間板ヘルニアとは

首の骨(頸椎)の間でクッションの役割を果たしている椎間板の繊維輪が肥厚することや椎間板の髄核が飛び出すことで、すぐ後ろを通っている神経(神経根や脊髄)を圧迫して、首や肩、手足にさまざまな症状を引き起こす病気です。30〜50代に比較的多く見られます。

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主な原因

  • 加齢による変化:椎間板の水分が減って弾力性が失われ、傷つきやすくなります。
  • 首への負担:長時間のデスクワーク(うつむき姿勢)、スマホの長時間利用、スポーツや事故による衝撃などが引き金になります。

主な症状

圧迫される神経の場所によって、症状の出方が大きく2つに分かれます。

1. 片側の肩や腕が痛む(神経根の圧迫)

主に左右どちらか片方の首から肩、腕、手にかけて激しい痛みやしびれが出ます。

  • 首を後ろや斜め後ろにそらすと、神経がさらに圧迫されて痛みが強くなるのが特徴です。
  • 手の感覚が鈍くなったり、腕の筋力が落ちたりすることもあります。

2. 両手足がしびれる、歩きにくい(脊髄の圧迫)

より中心にある太い神経(脊髄)が圧迫されると、症状が重くなります。

  • 両方の手足にしびれが出たり、手の細かい作業(ボタン掛け、箸を使う、文字を書くなど)が難しくなったりします。
  • 足がもつれる、階段を降りにくいといった歩行障害や、尿が出にくいなどの排尿障害が起きることもあります。 

頸椎椎間板ヘルニアの手術

頸椎椎間板ヘルニアの手術は、保存療法(薬物療法、ブロック注射、安静など)では麻痺や激しい痛みが改善しない場合や、脊髄が圧迫されて歩行障害や排尿障害などの「脊髄症」が現れた場合に検討されます。

手術のアプローチ方法は、大きく分けると「前方アプローチ(首の前から)」と「後方アプローチ(首の後ろから)」の2つに分類され、ヘルニアの位置や飛び出し方、圧迫されている神経(神経根か脊髄か)によって選択されます。

当院では、最新の脊椎手術ナビゲーションシステムを導入しています。この装置は、手術中に「器具の先端が、患者さんの解剖学的構造のどこに位置しているか」をリアルタイムで高精度に画面に表示するシステムであり、いわば「手術室のカーナビゲーションシステム」のような役割を果たし、より正確で安全な手術が可能になっています。

1. 前方アプローチ(首の前面から進入)

喉の皮膚のしわに沿って数センチ切開し、気管や食道をよけて椎間板に到達する方法です。ヘルニアが中央に大きく飛び出し、脊髄そのものを強く圧迫している場合に適しています。

  • 頸椎前方除圧固定術(ACDF):悪くなった椎間板とヘルニアをすべて取り除き、空いたスペースに自分の骨(骨盤などから採取)やチタン・プラスチック製のケージ(人工のスペーサー)を挿入して上下の椎骨を固定します。
  • 人工椎間板置換術(ADR):固定する代わりに、可動性のある人工椎間板を留置します。隣接する椎間板への負担を軽減できるメリットがあり、比較的若い患者さんに選ばれるケースが増えています。

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2. 後方アプローチ(首の後面から進入)

首の後ろ側を切開し、筋肉を分けて椎弓(ついきゅう:背骨の後ろ側の骨)に到達する方法です。ヘルニアが左右どちらかに偏っており、脊髄から枝分かれした「神経根(しんけいこん)」を圧迫して片側の腕に痛みやしびれが出ている場合に適しています。

  • 後方椎間孔切開術:骨を直径数ミリ程度だけ内視鏡や顕微鏡を使って削り、神経の出口(椎間孔)を広げてヘルニアを部分的に摘出、または逃げ道を作ります。関節の固定が必要ないため、首の動きが制限されにくいのが特徴です。
  • 椎弓形成術:複数箇所に狭窄(きょうさく)があり、脊髄全体が広く圧迫されている場合、背側の骨を観音開きのように広げて脊柱管を拡大します。

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大切なこと

「手足に力が入らない」「箸がうまく使えない」「歩くときに足が突っ張る」といった症状がある場合は、神経が重大なダメージを受けている可能性があります。そのままにしておくと神経のダメージが大きくなり、手術をしても元の状態に戻らない可能性があります。早急に脊椎外科(脳神経外科、整形外科)を受診してください。 

術中ナビゲーションシステムとは

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令和8年1月に導入した、術中ナビゲーションシステムは、メドトロニック(Medtronic)社が開発した、最先端の術中ナビゲーションシステムです。(写真提供:日本メドトロニック株式会社)

手術中に「器具の先端が、患者さんの解剖学的構造のどこに位置しているか」をリアルタイムで高精度に画面に表示するシステムであり、いわば「手術室のカーナビゲーションシステム」のような役割を果たします。

主に脳神経外科、脊椎外科、耳鼻咽喉科領域などの、極めて繊細かつ正確性が求められる手術で導入されています。

主な特徴とシステムテクノロジーは以下の通りです。

ナビゲーションにより安全な手術が可能

手術器具の位置を検出するため、症例や術式に合わせて光学式(赤外線カメラと反射マーカー)と磁場式(EM:電磁場センサー)の両方のトラッキング技術を選択・併用できる高精度なハイブリッド追跡(トラッキング)方式を搭載しています。これにより、術野の遮蔽(死角)によるエラーを減らし、手術器具の位置をナビゲーションで確認しながら手術を進めますので、より安全な手術が可能になります。

画像を使った正確な手術を再現

術前に撮影したCT、MRIをはじめ、CTA(血管造影)、fMRI(機能的MRI)、PET、SPECTなどの異なるモダリティの画像データをシステム上で高精度に重ね合わせ(フュージョン)、3Dモデル化できます。この画像を使って手術を進めることにより正確な手術が可能になっています。

  • 自動3Dセグメンテーション:腫瘍、血管、白質線維などの重要組織を自動で色分け抽出し、立体的な立体画像として描出します。
  • バーチャルシミュレーション:仮想開頭術や仮想内視鏡機能を用い、術前に最適なアプローチ経路(トラジェクトリー)をシミュレーション・保存できます。

様々な手術器具と連携により手術時間を短縮

X線透視装置、手術用顕微鏡、超音波装置などの手術で使用する医療機器と連携が可能で、スムーズな手術が可能となり、手術時間を短縮することができます。また、これにより手術中の放射線使用時間も短縮し、放射線被ばくを低減することができます。

  • 術中イメージング装置との統合:手術室の中でリアルタイムに撮影した3D画像と自動で位置合わせを行い、患者の体位変換や術中脳シフト(脳の変形)にも即座に対応します。
  • 手術用顕微鏡や内視鏡、超音波装置との接続:顕微鏡の視野内にナビゲーション情報をオーバーレイ表示(HUD: ヘッドアップディスプレイ)させることが可能です。

主な適応領域と手術手技

  • 脳神経外科:脳腫瘍摘出術、脳生検(バイオプシー)、DBS(脳深部刺激療法)リード留置、脳動脈瘤クリッピング、カテーテルやドレナージ術。深部にある病変へ安全かつ最小限の侵襲で到達するルートをナビゲートします。
  • 脊椎外科:脊椎除圧術、脊椎固定術(椎弓根スクリュー:ペディクルスクリューの留置など)。骨の変形が強い症例や、肉眼で見えない解剖学的構造に対し、安全にインプラントを設置するサポートをします。
  • 耳鼻咽喉科:複雑な副鼻腔手術や頭蓋底手術など、薄い骨を隔てて眼球や頸動脈が隣接する領域での安全な骨切り・病変切除。

手術でのメリット

  1. 安全性の向上:重要な血管や神経の損傷リスクを低減します。
  2. 低侵襲化:的確な位置へのアプローチが可能になるため、皮膚切開や骨窓(開頭・開窓範囲)を最小限に抑えられます。
  3. 手術時間の短縮:術中3Dイメージングシステム等との連携による迅速なレジストレーションや、術中インプラント位置の即時確認により、手技の効率化とトータルの手術時間短縮に寄与します。

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