ホーム > 診療科・部門 > 産婦人科 > 産婦人科の取り組み

ここから本文です。

更新日:2021年6月21日

産婦人科の取り組み

産婦人科の治療分野は周産期(妊娠・分娩)、腫瘍、生殖・内分泌(不妊症)、女性のヘルスケア(思春期・更年期)の4つに大きく分けることができます。当院における各分野の取り組みをご紹介します。

周産期(妊娠・分娩)

産科領域では正常妊娠・分娩から合併症のあるハイリスク妊娠や多胎妊娠まで幅広く対応しておりますので、妊娠の診断から分娩まで安心して受診していただくことができます。また、里帰り分娩も制限しておりません(里帰り分娩希望の方は妊娠34週前後に紹介状を持参して受診してください。)。当院は、総合病院なので、合併症をお持ちの妊婦さんも数多く来院されますが、どのような妊婦さんにも安心してマタニテイライフを送っていただくために、私達産婦人科医師やスタッフはもちろんのこと、他科の医師とも協同して最善の管理を行えるように心がけています。特に最近は、妊娠糖尿病と診断される方も多く、内科と連携をとりながらきめ細やかな管理を行っております。また、歯周病による低出生体重児出産や早産リスクとの関連性も指摘されていることから、歯科検診も積極的に推奨しています。

昨年は、超音波装置が3Dや4Dに対応した器械へと一新され、胎児発育不全・胎児形態異常をはじめ、胎児の状態にあわせた的確な診断を行うことが可能となりました。条件が整えば「3Dや4Dエコー」もみることが可能です。また、SDカードへの録画も行っていますので、ご希望の方はSDカード又はSDHCカード(32Gまで)をご持参ください。本年度より胎児ドック・胎児精密超音波検査外来も開設予定です。

出生前診断として超音波検査はもちろんのこと、お母さんの採血をするクアトロテストや羊水を採取する羊水染色体検査にも対応しております。ご高齢の方、染色体異常が心配な方、超音波検査で気になる点を指摘された方などを対象にカウンセリングを行った上で試行します。詳しくは妊婦健診の際に医師にご相談ください。

私たちが行う医療は「安心・安全」を第一に考え、妊娠中は勿論、出産・産後まできめ細かにサポートすることを目指しています。当院では自然な分娩を大切にし、母乳育児を推進しています。原則的にお産後の入院は母児同室としており、退院後も「おっぱい外来」で妊婦さんの不安を解消できるように心がけています。平成22年4月からは「助産外来」を開設して、妊娠中の保健指導や超音波検査も行っており、非常に好評を得ています。平成25年10月からはリスクの低い妊婦を対象に「院内助産」を開設しました。また平成26年6月からは出産後の回復や育児等に不安を持つ母親と乳児を対象に「産後ケア入院事業」を開始しています。市民病院隣にできた総合保健センターで行われる春日井市妊産婦ケア(デイケア)事業とも連携し、妊産婦の支援にあたります。
また、クリティカルパスの導入により、正常分娩は出産後5日目退院、帝王切開は術後8日目退院が標準入院期間になっています(NICUが併設されていませんので、妊娠35週以降、2,000g以上の赤ちゃんしか取り扱うことができません。状況に応じて母体搬送・新生児搬送を考慮させていただきますのでご了承ください。)。

産婦人科外来の診察の様子・外来待合・天井モニターの写真

産婦人科病棟の分娩室・陣痛室・授乳室・スタッフステーション・個室病室・大部屋(4人病室)の写真

腫瘍

愛知県がん診療拠点病院。当院は周産期医療だけではなく、婦人科腫瘍の診断・治療にも積極的に取り組んでおります。

愛知県がん診療拠点病院に指定されており、子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん等の悪性腫瘍治療を積極的に行っています。日本婦人科腫瘍学会で示されるガイドラインに基づいた手術・化学療法・放射線治療など標準的な治療を行っています。進行がんや再発がんに対しても術前化学療法を行った積極的な手術療法に取り組んでおり、広汎子宮全摘術、傍大動脈リンパ節郭清術等の手術はもちろんのこと、がん化学療法や放射線治療(外照射)にも対応しております。当院には外来化学療法センターがあるので、自宅で普段通りの生活をしながら治療を行うことが可能です。もちろん病状によっては入院化学療法にも対応していますので、担当医師にご相談ください。また、院内緩和チームと協同し、がん患者さんの苦痛緩和にも積極的に取り組んでいます。

婦人科疾患は、女性の一生涯においてどのライフステージにおいても起こり得ます。良性疾患に限りますと、月経に関連した不調の原因となる子宮筋腫や子宮内膜症、子宮腺筋症、下腹部痛の原因又は時に偶発的に発見される良性卵巣腫瘍、年齢を重ねると共に気になる子宮脱、膀胱瘤、直腸瘤が挙げられます。この他にも、多岐にわたる理由で婦人科を受診される患者さんがいらっしゃいます。当院では、これらの疾患を正確に診断することから始まり、患者さんに確実な治療法をご提案することを信条としています。

婦人科良性疾患は、治療薬の発展に伴い薬物治療で症状をコントロールすることが可能となってきました。しかし、残念ながら様々な理由で薬物治療の継続が困難となる場合や、薬物治療単独では症状のコントロールが難しい場合、またそもそも疾患として薬物治療の適応が無い場合がございます。そのような場合に、最良の治療として手術をご提案するがございますが、そのような場合にも、少しでも患者さんの身体的・精神的負担、仕事への影響を減らすために、適応に応じて術式の選択を行なっております。

卵巣腫瘍、子宮筋腫、子宮腺筋症など術前に良性腫瘍と考えられる症例に関しては、積極的に腹腔鏡手術を行い、小さな傷で、精緻な手術を行なっております。術後の回復も早く、術式によって数日の差はございますが、大体3〜5日で退院される方が多いです。ただし、腹腔鏡手術をご希望される患者さんの中には、腫瘍の大きさによっては手術時間や合併症の観点から安全に手術が施行出来ないと判断する方もいらっしゃいます。その場合は、術前に月経を止める偽閉経療法という治療を行い、3ヶ月から半年ほどの治療の後、その縮小の程度を診て再度術式を判断させていただくことがございますのでご了承いただけますと幸いです。

また子宮脱や膀胱瘤、直腸瘤の症例には、腟式手術を積極的に行い、お腹に傷を作らない、より体に負担の少ない術式を行なっています。昨年、腹腔鏡下仙骨腟固定術の施設認定を取得し、症例に応じて最良の術式を選択しています。

生殖・内分泌(不妊症)

当院での不妊治療は負担の少ない治療法から選択して診療にあたるように心がけています。まずはスクリーニング検査(採血・子宮卵管造影・精液検査など)を行い、その後一般不妊治療(タイミング指導、排卵誘発、人工授精など)を行います。なかなか妊娠しなくてご心配な方はお気軽にご相談下さい。診療の上で高度生殖医療(体外受精、顕微受精など)が必要だと判断される方には適切な診療施設を相談の上紹介させていただきます。

女性のヘルスケア(思春期・更年期)

月経異常、更年期障害、避妊の相談等に対応しています。更年期になると体の不調(イライラ・ほてり・不眠など)に加え、高脂血症、骨粗鬆症や腟炎などの変化が現れます。これらにも様々な治療法(ホルモン補充療法、漢方薬、自律神経治療薬など)がありますので、患者さんにとっても一番良い方法を見つけていきたいと思います。症状が安定すれば、ご近所の産婦人科に紹介させていただき継続治療することも可能です。

腟欠損は4000-5000人の一人の頻度で発生し、原発性無月経の約10%を占める疾患です。そのような患者さんに対して性機能の回復を図るための手術として造腟術があります。当院では整容面を考慮し腹腔鏡を使用して京都大学名誉教授、セントラル病院産婦人科菅沼信彦先生のご指導のもと行っています。術前、術後のフォローは当院でも、かかりつけ医でも可能です。

ページの先頭へ戻る