脳神経・脊椎領域の術中ナビゲーションシステムを導入しています
術中ナビゲーションシステムとは

令和8年1月に導入した、術中ナビゲーションシステムは、メドトロニック(Medtronic)社が開発した、最先端の術中ナビゲーションシステムです。(写真提供:日本メドトロニック株式会社)
手術中に「器具の先端が、患者さんの解剖学的構造のどこに位置しているか」をリアルタイムで高精度に画面に表示するシステムであり、いわば「手術室のカーナビゲーションシステム」のような役割を果たします。
主に脳神経外科、脊椎外科、耳鼻咽喉科領域などの、極めて繊細かつ正確性が求められる手術で導入されています。
主な特徴とシステムテクノロジーは以下の通りです。
ナビゲーションにより安全な手術が可能
手術器具の位置を検出するため、症例や術式に合わせて光学式(赤外線カメラと反射マーカー)と磁場式(EM:電磁場センサー)の両方のトラッキング技術を選択・併用できる高精度なハイブリッド追跡(トラッキング)方式を搭載しています。これにより、術野の遮蔽(死角)によるエラーを減らし、手術器具の位置をナビゲーションで確認しながら手術を進めますので、より安全な手術が可能になります。
画像を使った正確な手術を再現
術前に撮影したCT、MRIをはじめ、CTA(血管造影)、fMRI(機能的MRI)、PET、SPECTなどの異なるモダリティの画像データをシステム上で高精度に重ね合わせ(フュージョン)、3Dモデル化できます。この画像を使って手術を進めることにより正確な手術が可能になっています。
- 自動3Dセグメンテーション:腫瘍、血管、白質線維などの重要組織を自動で色分け抽出し、立体的な立体画像として描出します。
- バーチャルシミュレーション:仮想開頭術や仮想内視鏡機能を用い、術前に最適なアプローチ経路(トラジェクトリー)をシミュレーション・保存できます。
様々な手術器具と連携により手術時間を短縮
X線透視装置、手術用顕微鏡、超音波装置などの手術で使用する医療機器と連携が可能で、スムーズな手術が可能となり、手術時間を短縮することができます。また、これにより手術中の放射線使用時間も短縮し、放射線被ばくを低減することができます。
- 術中イメージング装置との統合:手術室の中でリアルタイムに撮影した3D画像と自動で位置合わせを行い、患者の体位変換や術中脳シフト(脳の変形)にも即座に対応します。
- 手術用顕微鏡や内視鏡、超音波装置との接続:顕微鏡の視野内にナビゲーション情報をオーバーレイ表示(HUD: ヘッドアップディスプレイ)させることが可能です。
主な適応領域と手術手技
- 脳神経外科:脳腫瘍摘出術、脳生検(バイオプシー)、DBS(脳深部刺激療法)リード留置、脳動脈瘤クリッピング、カテーテルやドレナージ術。深部にある病変へ安全かつ最小限の侵襲で到達するルートをナビゲートします。
- 脊椎外科:脊椎除圧術、脊椎固定術(椎弓根スクリュー:ペディクルスクリューの留置など)。骨の変形が強い症例や、肉眼で見えない解剖学的構造に対し、安全にインプラントを設置するサポートをします。
- 耳鼻咽喉科:複雑な副鼻腔手術や頭蓋底手術など、薄い骨を隔てて眼球や頸動脈が隣接する領域での安全な骨切り・病変切除。
手術でのメリット
- 安全性の向上:重要な血管や神経の損傷リスクを低減します。
- 低侵襲化:的確な位置へのアプローチが可能になるため、皮膚切開や骨窓(開頭・開窓範囲)を最小限に抑えられます。
- 手術時間の短縮:術中3Dイメージングシステム等との連携による迅速なレジストレーションや、術中インプラント位置の即時確認により、手技の効率化とトータルの手術時間短縮に寄与します。