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更新日:2022年8月2日

消化器内科の病気

 

消化管の病気

早期がんの内視鏡治療

早期がんの場合は内視鏡治療又は外科治療の判断が重要であり、NBI拡大内視鏡や色素内視鏡、超音波内視鏡検査などの精密検査で治療方針を正確に決定します(消化管がんの内視鏡診断を参照)。
内視鏡切除の適応と診断されれば、粘膜下層剥離術(ESD)を施行しています。様々な工夫をすることで大きな病変や部位的に難しい病変にも積極的に対応しています。この方法は食道・胃・大腸すべての臓器が対象です(食道・胃・大腸がんの内視鏡治療を参照)。

進行がんの化学療法

近年は免疫チェックポイント阻害薬という新しい薬剤が使えるようになってきました。また患者さんから得られたがん組織の検体を調べることで、事前に効果の高い治療薬を予測することもできるようになってきています。これらの情報をもとに一人一人に最適な治療薬を選択し、化学療法センターとも協力して副作用にも十分注意を払いながら治療を行っています。また症例によっては、放射線療法を選択する場合や、抗がん剤と放射線を併用する治療も行っています。治療が奏功し、腫瘍の縮小がみられた場合、再度外科と相談し手術治療を行う場合もあります。手術を前提とした術前化学療法も当科で行っています。更に、残念ながら標準治療が終了した患者さんには、ゲノム医療という患者さんの遺伝子(がん組織の場合と血液の場合があります)を調べることで保険収載されていない治療薬が使用できないかを調べる検査も適宜提案しております(当院では行えない検査であり、拠点病院を紹介する形になります)。

進行がんの緩和治療

消化管がんにおいてはがんの進行により臓器の狭窄(狭くなり、食事や便が通過しなくなること)が起こります。その場合、狭窄部にステント(金属製の網)を留置することでQOL(生活の質)を維持できることがしばしばあり、当科でもステント留置術を行っています。
この方法は内視鏡的な方法であり、食道・胃・十二指腸・大腸ともに可能です。また当院ではがん患者さんへの緩和治療にも積極的に取り組んでいます。ACP(アドバンス・ケア・プランニング)を行い患者さんの希望を取り入れ、緩和ケアチームとも協力して診療を行っています(緩和ケアセンターを参照)。

胃・十二指腸潰瘍・慢性胃炎

潰瘍の重要な原因としてピロリ菌(Helicobacter pylori)の感染が指摘されています。さらにピロリ菌は、胃がんの原因ともされており、ピロリ除菌療法は現在潰瘍の既往歴のある方のみならず慢性胃炎の方にも保険適応となっています。治療は、2種類の抗菌薬剤と胃酸分泌抑制剤の計3剤を1週間内服する除菌療法で、除菌率は90%程度です。除菌できなかった患者さんについて抗菌薬を変更して二次除菌も行っています。

消化管出血

吐血や下血の患者さんに対しては24時間体制で緊急内視鏡検査を行い、出血の原因を診断し、同時に内視鏡的止血治療を行います。止血困難例には、IVR(腹部血管塞栓術)や外科医との連携により手術を実施するなど万全の体制を整えています。

食道静脈瘤破裂による出血には緊急内視鏡的治療、破裂予防にも同じく内視鏡的治療を行います。
内視鏡的治療法には、静脈瘤の内・外に硬化剤を注入する硬化術(EIS)と静脈瘤を輪ゴムで縛る結紮術(EVL)があります。全身状態(特に肝の病態)と静脈瘤の状態、病態により治療法を決めています。また致死率の高い胃静脈瘤破裂に対しては、強力な硬化剤を用いた内視鏡的静脈瘤硬化療法やバルーン下逆行性経静脈的塞栓術(BRTO)を行っています。

小腸の検査・治療

かつて検査が困難とされていた臓器である小腸もカプセル内視鏡やバルン内視鏡といった方法により検査や治療が可能となってきました。胃カメラや大腸カメラを行っても原因不明の消化管出血・貧血の精査、クローン病や薬剤性小腸潰瘍などの小腸炎症性疾患の診断、小腸腫瘍の診断や内視鏡切除などを行っています。

大腸ポリープ

大腸ポリープは放置すると大きくなったり癌化するものがしばしばみられます。従ってそのようなポリープに対して内視鏡的ポリープ切除術を行っております。ポリープの大きさや形、患者さんの状態に応じて症例ごとに入院と外来での切除を判断して行っています。比較的小さなポリープに対しては通電をせずに切除することでより安全性が高いコールドポリペクトミーも行っています。

 炎症性腸疾患

潰瘍性大腸炎、クローン病があり、ともに特定疾患に認定されています。近年、患者数が著増している疾患ですが、一方で、新規薬剤も多数使えるようになってきています。
軽症例にはメサラジン製剤を基本としたステップアップ療法を、重症例には生物学的製剤を用いたトップダウン治療を行っています。顆粒球除去療法も積極的に行っています。従来、これらの疾患には、ステロイドという薬が頻用されておりましたが、近年ステロイドでは十分な治療効果が得られない難治症例も増えてきております。
しかし一方で近年、次々と新規生物学的製剤が発売されていますので、それぞれの薬剤のメリット・デメリットを考慮したうえで、個々の症例ごとに最適な治療を提案しております。炎症性腸疾患でお悩みの方はご相談ください。

肝臓の病気

急性肝炎

主に肝炎ウイルスの感染が原因で急性に肝機能障害を起こす病気です。症状としては嘔気、食欲不振、全身倦怠感、発熱、黄疸などがあります。急性肝炎はほとんどが自然に治癒しやすい病気ですが、約1~2%は肝臓の細胞が大量に破壊されて、機能不全に陥る病態(急性肝不全)となり、高率に死に至ります。
急性肝不全の治療は病態を正確に評価し、成因に対する治療のみならず、合併する腎不全、循環不全、凝固異常、肝性脳症、消化管出血、代謝異常などに対し、人工肝補助療法(血漿交換、持続的血液濾過透析)や人工呼吸管理など全身管理を集学的に行います。場合により肝移植を選択することもあります。当院では肝移植は行っていませんが、移植ができる大学病院(名大病院など)と連携して最善の治療法が提供できるような体制を整えています。

慢性肝炎

慢性肝炎とは半年以上肝臓に炎症が持続する病態で、その多くは無症状です。知らないうちに肝硬変、肝がんなどに進行する可能性のある病態です。原因としてB型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスのほか、自己免疫機序、肥満、アルコール、代謝性疾患などがあります。

C型肝炎の治療においては、最近続々とインターフェロンフリー(インターフェロンを使わない)の経口薬(DAAs)が登場しております。DAAsはインターフェロン治療と比べて、副作用も少なく、効果の高い飲み薬です。今までの治療では十分効果が出なかった方や、治療できないといわれた方にも治療のできる可能性があります。一度お気軽にご相談ください。
また、B型肝炎については厳密に治療適応を検討した上で、核酸アナログ製剤やインターフェロンによる治療を行っています。また、アルコールをほとんど飲まないのに肝臓に脂肪が沈着して肝障害をきたしてしまう病態、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)や非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)が最近増えています。当院ではフィブロスキャンというエコー検査によって脂肪肝の危険度を測定することも可能です。肝障害の指摘を受けたことのある方、「隠れ肝臓病」が心配な方、ぜひ一度当科外来までご相談にきてください。

肝硬変

肝硬変とは、慢性肝炎などにより長期間にわたり肝障害が持続することにより、肝臓に線維が増えてきて徐々に小さく硬くなり、さまざまな病態を引き起こす病気です。自覚症状のない時期(代償期)から症状の出てくる時期(非代償期)に徐々に進行していきます。
主な症状としては腹水、黄疸、肝性脳症、食道・胃静脈瘤、出血傾向などがあり、薬物療法、内視鏡的治療、腹水濾過濃縮再静注法(CART)など内科的治療を行っています。

 肝臓がん

肝臓がんに対しては、手術、経皮的ラジオ波焼灼療法(RFA)、経皮的エタノール注入療法(PEIT)、肝動脈化学塞栓療法(TACE)、肝動注化学療法(リザーバー療法)、分子標的治療などの治療法があります。特に近年は様々な分子標的薬が発売されており、個々の症例に応じた最適な治療戦略を選択することが可能となってきています。当院では肝癌診療ガイドラインに基づいて患者さんやその家族と相談しながら治療法を選択し、治療を行っています。

胆道、膵臓の病気

胆道・膵臓はお腹の深部に位置しているため、胃腸のように内視鏡で直接簡単に見ることはできません。まずは患者さんの丁寧な問診と診察により病状を探ります。そして血液検査はもとよりエコー、CT、MRIなど画像検査を駆使して病気を診断します。炎症なのか胆道結石なのか腫瘍なのか?その病気によって検査や治療法は大きく変わります。
例えば胆道結石の治療一つ取っても、内視鏡的、経皮的、外科的治療それぞれにメリットとデメリットがあります。当科では最大の治療効果と生活の質の両面を十分に検討した上で、何より安心安全な診療に努めています。
当院は日本胆道学会の認定指導施設に指定されておりますが、2020年からは日本膵臓学会の認定指導施設にも指定されました。より高度で専門的でありながらも、安全で患者さんファーストの診療を実現いたします。

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