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更新日:2022年6月22日

腹腔鏡下鼠経ヘルニア修復術

成人の鼠経ヘルニアに対する治療について

図1のように鼠経ヘルニアは一般に「脱腸」とよばれ足の付け根の鼠径部が膨れる疾患です。
男性は生涯で約30%,女性は10%の割合で発症します。
足の付け根の鼠径部は弱い部分で大人になると腹圧が何度もかかり鼠径部の筋肉に穴があくことで発症します。
図2のようにおなかの壁を構成している筋肉は穴が開きやすく、そこからおなかの内臓が脱出し膨れます。
鼠経ヘルニアには穴の部位によって外鼠経ヘルニア、内鼠経ヘルニア、大腿ヘルニアと分類されています。図1:足の付け根の鼠径部が膨れているイメージ図、図2:鼠径部の筋肉に穴が空いているイメージ図

発症すると痛みを伴ったり、稀ですが嵌頓(かんとん)といって筋肉の穴からでた臓器が穴にはまり込み壊死をしてしまうこともあります。
筋肉に穴があくので自然にはふさがらず、腹筋を鍛えても腹圧がかかる機会が増えるためさらに悪化してしまいます。
治療は手術で筋肉の穴をふさぐことが必要です。

鼠経ヘルニアの治療

患者さんにとって最適な治療法を提供します

鼠経ヘルニアの手術は、以前は筋肉の穴を直接縫合する方法が行われてきましたが、再発率が高いため
現在はメッシュという人工の膜を使用し欠損部を補強する方法が標準治療です。

図3のようにメッシュをあてる手術のやり方には2通りの方法があり、当院では2つの治療の選択について患者さんと相談し、最適と思われる術式を提供します。

(a)腹腔鏡下鼠経ヘルニア修復術
腹腔鏡で腹壁の内側から筋肉の裏側にメッシュをあてる方法(全身麻酔)

(b)前方切開法
鼠径部を切開し筋肉の欠損部にメッシュをあてる方法(局所麻酔)

図3:a腹腔鏡下鼠経ヘルニア修復術イメージ図。5mmの創部3ヶ所で行います。b前方切開法のイメージ図。5cmの切開で行います。

腹腔鏡下鼠経ヘルニア修復術

腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術にはTAPP法とTEP法があり、TAPP法(Trans-AbdominalPre-Peritonealrepair法)は、おなかの中から穴を確認しヘルニアを治療する方法です。
TEP法(TotallyExtra-Peritonealrepair法)は、おなかの壁を経由しヘルニア部に到達し治療する方法です。

TAPP法を行っています

図4のとおり、当院では2013年9月より腹腔鏡手術を導入し2021年4月までに約720例(年間約100例)の腹腔鏡による治療を行ってきました。2013年から2020年までの腹腔鏡下鼠経手術件数のグラフ

腹腔鏡の治療は次のような利点があり、特に術後早期社会復帰を望む患者さんには最適な術式です。

  • きずが小さい
  • 痛みが少ない
  • 運動制限もほとんどなく早期の社会復帰が可能など

ただし次のような患者さんは腹腔鏡ではなく従来の前方切開法などをお勧めしています。

  • 全身麻酔にリスクを伴う重い持病をお持ちの患者さん
  • 下腹部に大きな手術創のある患者さん
    (上腹部に手術創がある方、帝王切開や虫垂炎手術などの術後はTAPP法は可能です)
  • 前立腺全摘出の既往のある患者さん

当院へ来院された患者さんの治療完了までの流れ

当院へ来院された患者さんの治療完了までの流れです。

当院では安全に、早期に社会復帰を目指せるように治療を行ってきます。

  1. 初診外来(月曜日~金曜日 9時~11時30分)
    診察、諸検査
  2. 再診(月曜日~金曜日 9時~11時30分)
    検査結果説明、術式の相談、手術の日程の打合せ
  3. 手術当日
    入院、手術
  4. 手術翌日
    退院
  5. 術後1~2回の外来通院
    終了

通院日数は手術前・手術後併せて4日、入院期間は2日(手術当日入院翌日退院)です。
初診~治療完了までは1~2か月です。
※日程や術後経過によっては必ずしも上記のとおりにならないこともありますのでご了承ください。

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