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更新日:2026年8月18日
循環器病床は、一般病床の他に、集中治療室(ICU・CCU)を有し、重症患者受け入れ要請に柔軟に対応することができます。設備面では、心臓超音波検査、運動負荷心電図検査、冠動脈CT、負荷心筋シンチ検査、心臓MRIなどの非侵襲的検査から、心臓カテーテル検査、心臓内電気生理学的検査などの侵襲的検査を積極的に行っています。バイプレーン血管撮影装置2基(1台は心臓専用)を設置しています。
虚血性心疾患は、心臓の筋肉(心筋)に酸素や栄養を供給する冠動脈という血管が狭くなったり詰まったりすることで起こる病気です。動脈硬化の進行が主な原因で、心臓への血流が不足することにより、胸痛や圧迫感などの症状が生じます。
冠動脈が「狭く」なり、一時的に血流が不足する状態です。
以下のような症状があれば不安定狭心症の可能性があり、心筋梗塞に移行しやすい危険な状態です。

冠動脈が「完全に閉塞」し、血流が途絶えることで、その先にある心筋が壊死に陥った状態です。
心筋梗塞は冠動脈が血栓等で完全に詰まり、心筋の一部が壊死する病気です。心筋壊死による不整脈や心不全などの合併症を起こす可能性が高く、一刻も早い治療が必要です。

動脈硬化を進行させる以下の要素が、虚血性心疾患の発症リスクを大きく高めます。
急性期か慢性期か、また患者の状態に応じて以下の検査を組み合わせて診断します。
心臓の負担を軽減し、血管を拡張させ、血栓形成を予防します。
手首や足の付け根の血管からカテーテルを挿入し、狭窄・閉塞した冠動脈を風船(バルーン)で膨らませ、ステント(金属の網状の筒)を留置して血流を再開させる低侵襲治療です。再狭窄の減少に寄与できる薬剤溶出性ステントの留置が主流であり、血管内超音波(IVUS)や光干渉断層法(OCT)、血流予備量比(FFR)などを用いることにより、さらなる再狭窄の減少・成績向上に努めています。急性心筋梗塞や不安定狭心症に対しては、発症からいかに早くこの治療を行えるかが予後を左右します。

狭窄部位の先(末梢側)に、体内の自身の血管(内胸動脈や大伏在静脈など)を繋ぎ、新たな血液の回り道(バイパス)を作る外科手術です。左冠動脈主幹部(LMT)の病変や3枝病変(主要な3本の血管すべてに高度狭窄がある場合)、糖尿病を合併している多枝病変などカテーテル治療が適用でない場合に適合されます。

不整脈は、心臓の脈拍が正常なリズム(1分間に60〜100回)から外れて、速くなったり(頻脈)、遅くなったり(徐脈)、あるいは不規則に乱れたり(期外収縮など)する状態の総称です。その不整脈が「放置してよいもの(良性)」か、「治療が必要なもの(悪性・病的)」かを見極め、病態に応じたアプローチを選択することが重要になります。
不整脈は、脈の速さと乱れ方によって大きく3つに分類されます。
刺激伝導系以外の場所で異常な電気信号が発生したり、電気が回路をぐるぐると回り続けたり(リエントリー)することで起こります。
最も多い頻拍性不整脈は心房細動で、日本では70万人以上が罹患しています。時々出現する初期段階の発作性心房細動から、経年的に持続性心房細動に移行します。
(主な疾患)
心房細動(AF)、発作性上室性頻拍(PSVT)、心室頻拍(VT)、心室細動(Vf)など。
(症状)
※ 症状がない場合も珍しくありません
(リスク)
電気信号を出すペースメーカー(洞結節)の機能低下や、電気信号の通り道(房室結節など)が途絶えることで起こります。
(主な疾患)
(症状)
(リスク)

本来のタイミングよりも早く、心房や心室から異所性の電気信号が発生する、最も頻度の高い不整脈です。
治療の目的は、「症状の緩和・QOLの向上」と「予後の改善(突然死の防止、脳梗塞の予防)」の2点です。現代医療では、薬物療法だけでなく、カテーテルインターベンションやデバイス治療が確立されています。
作用メカニズム(Vaughan Williams分類やSicilian Gambit分類など)に基づき、ナトリウム(Na)チャネル遮断薬、β遮断薬、カリウム(K)チャネル遮断薬、カルシウム(Ca)チャネル遮断薬などが使い分けられます。
カテーテルアブレーションは、心房細動、発作性上室性頻拍、心房粗動などに対して、カテーテル先端から高周波通電や冷凍凝固(クライオ)を行い、異常な電気信号の発生源や伝導路を焼き切る(あるいは隔離する)根治的治療です。この治療の詳細は、カテーテルアブレーションからご覧いただきことができます。

ペースメーカー移植術は、洞不全症候群、高度・完全房室ブロックに対して、皮下に本体を植え込み、電気刺激によって必要な心拍数を維持する徐脈治療です。
以前は、心筋にリード線を留置するペースメーカーが主流でしたが、近年、リードレスペースメーカーが登場し、当院でも施行可能です。重さ1.75g、長さ25.9mmと小型でちょうど一般的なビタミンカプセルと同じぐらいの大きさです。カテーテルによる留置が可能ですので、従来の恒久ペースメーカー植込み術に比べて体への負担が軽減できると考えられています。リードレスペースメーカーは、従来の恒久ペースメーカー植込み術に関連した、主要な合併症の約半数を占めるリード・ポケット関連の合併症を回避することが可能です。


ICD(植込み型除細動器)の適応となる主な疾患や病態は、「致死性不整脈による心停止(心臓突然死)のリスクが高い、またはすでに発症したことがある」ケースです。致死的な不整脈を検知するとICDが心臓に電気ショックを行い、救命します。
適応は大きく「一次予防(まだ発症していないがリスクが極めて高い)」と「二次予防(すでに発症したことがある)」の2つに分類されます。
致死性不整脈をまだ起こしていなくても、心機能の低下や遺伝的要因によって突然死のリスクが高い疾患が対象です。日本のガイドライン(循環器病ガイドラインなど)に準拠した主な疾患を挙げます。
1.器質的心疾患(心筋の障害によるもの)
心筋の線維化や菲薄化(ひはくか)が不整脈の回路となりやすいため、特に左室駆出率(LVEF)が35%以下に低下している症例で強く推奨されます。
虚血性心疾患(陳旧性心筋梗塞など)
非虚血性心筋症
心筋炎の後遺症、心サルコイドーシス、心アミロイドーシス
2.遺伝性不整脈(イオンチャネル病など)
心臓の構造自体には異常(器質的疾患)が見られないものの、心筋細胞の電気的な通り道(イオンチャネル)の異常により突然死を来す疾患です。
ブルガダ(Brugada)症候群
Q-T延長症候群(LQTS)
Q-T短縮症候群(SQTS)
J波症候群(早期再分極症候群)
カテコラミン誘発性多形性心室頻拍(CPVT)

※ 心不全の重症度が高く、心電図上でQRS幅の延長(特に左脚ブロックのパターン)が見られる場合は、致死性不整脈の予防(ICD機能)に加えて、心臓の収縮のズレを補正して心不全症状を改善させる両心室ペーシング機能(CRT-D)の適応となるケースがあります。
原因疾患を問わず、以下の病態を経験した患者さんが対象となります。
心不全とは病名ではなく「状態」を表す言葉です。心臓のポンプ機能が十分に働かなくなった結果、身体に必要な血液や酸素が行き渡らなくなる状態のことです。様々な心臓の病気が原因となって引き起こされる症候群です。
近年、高齢化社会の到来とともに、心不全入院患者数が増加しています。心不全は重症度や基盤疾患などにより治療方法や入院期間が異なりますが、死亡率や再入院率が高いことが問題であります。少しでも早く自覚症状を取り、生活の質を低下させないよう、さらには予後の改善を目指した治療を行っています。また、ひとりの患者さんが保有している併存疾患の数が年々増加しており、高血圧症や糖尿病などの慢性疾患の管理が重要となっています。
※ いつも通りの日常動作が息苦しく感じることは、心不全悪化の初期のサインの可能性があります。そうなると、つらい動作を無意識に避けるようになります。がまんしないで早期に受診することは、心不全悪化を防ぐ第一歩です。
心臓の筋肉や弁、あるいは血管に負担がかかるあらゆる病気が原因となり得ます。

心臓はポンプのように縮んだり膨らんだりして全身に血液を送り出していますが、この時に血管の壁に押し寄せる血液の圧力(血圧)が強すぎる状態が慢性的に続くと「高血圧」と診断されます。2025年のガイドラインでの高血圧は、病院の診察室で測定した場合、最高血圧が 130 mmHg 以上、または最低血圧が 80 mmHg 以上が基準となります(自宅で測る家庭血圧の場合は、少し低めの 125 / 75 mmHg 以上が基準です)。
弁膜症(しんぞうべんまくしょう)は、心臓の中にある「弁」が正常に機能しなくなる病気です。心臓には血液を一定方向に流すための4つの弁(僧帽弁、大動脈弁、三尖弁、肺動脈弁)があり、これらが開閉することで効率的なポンプ機能を維持しています。弁に起こる不具合は、大きく分けて次の2パターンがあります。これらが同時に起こる「狭窄兼閉鎖不全症」もあります。特に左心系(全身に血液を送る側)に位置する大動脈弁と僧帽弁(そうぼうべん)は高圧にさらされるため、トラブルが起きやすい傾向にあります。

心筋症は、高血圧や虚血性心疾患(心筋梗塞など)、弁膜症といった明確な原因がないにもかかわらず、心臓の筋肉(心筋)そのものに異常が生じ、心臓のポンプ機能が低下していく病気です。
心筋症の主要な3病型
1. 拡張型心筋症

2. 肥大型心筋症

3. 拘束型心筋症
4.その他
右心室の心筋が脂肪や線維組織に置き換わる不整脈源性右室心筋症(ARVC)や、ストレスなどが引き金となる一時的なたこつぼ心筋症などもあります。
医療機関では、主に以下のような検査を組み合わせて診断します。
心不全の治療は「症状を和らげること」と「入院が必要になるような悪化(増悪)を防ぐこと」が2大目標になります。そのため当院では、心不全患者さんの再入院を防ぐために「心臓リハビリテーション」「心不全教育入院」「心不全地域連携パスで再入院予防」などの取り組みを行っています。
塩分制限、水分管理、適度な運動、禁煙・節酒
心筋梗塞や心不全など心臓に病気をかかえた患者さんが、より質の高い社会復帰や病気の再発・悪化予防を目指して行うリハビリテーションのことです。運動療法を含んだリハビリテーションは、心筋梗塞の再発予防に有用であり、予後を改善することが報告されています。また、高血圧、糖尿病、肥満、脂質異常症など動脈硬化の危険因子を改善します。
急性心筋梗塞の患者さんでは、急性期から個別的な処方に基づいた運動療法を開始し、徐々に活動量を増やしていきます。退院後も可及的に外来通院で心臓リハビリテーションを継続していただきます。心肺運動負荷試験を行うことができる患者さんでは、ひとりひとりに合った運動の強度を設定して、具体的な運動処方を行います。3か月後、6か月後に負荷試験を反復して行うことにより、運動処方内容を更新します。当院では心臓リハビリテーション指導士が2名常勤しています。詳しくは「心臓病センター」をご覧ください。
「心臓病センター」をクリックしていただければサイトへ移動できます。
当科は、目の前の患者さんの診療を行うだけでなく、常に効果的な医療を提供し続けるために、臨床研究にも積極的に取り組んでいます。実際の臨床経験から得られた新しい知見や情報を国内外の学会で発表するとともに、学術雑誌に報告しております。