耳鳴り(みみなり)
耳鳴りとは
耳鳴り(みみなり)は、周囲に音がしていないのに音が聞こえる非常に不快な症状です。原因や症状の現れ方は人によって様々です。

耳鳴りの種類と特徴
- 自覚的耳鳴:本人にしか聞こえないもの(最も多いタイプ)。キーン、ピー(高音)、ゴー、ボー(低音)など。
- 他覚的耳鳴:外部からも聴診器などで聞き取れるもの。血管の拍動や筋肉の痙攣などが原因で起こります。
主な原因
耳鳴りは「病気のサイン」であることも多いため、症状に注意が必要です。
- 難聴に伴うもの:加齢性難聴、メニエール病、突発性難聴など。
- ストレス・自律神経:疲労や睡眠不足、精神的なプレッシャー。
- 耳の疾患:中耳炎、耳垢の詰まり。
- その他:薬剤の副作用、高血圧、顎関節症など。
治療
耳鳴りの背景に特定の病気がある場合の治療
- 突発性難聴・メニエール病など: ステロイド薬、血管拡張薬、ビタミンB12製剤などの点滴や内服。
- 耳管機能障害や中耳炎: 炎症を抑える治療や処置。
- 内科的要因: 高血圧や糖尿病など、基礎疾患のコントロール。
症状の緩和のための薬物療法
耳鳴りそのものを完全に消す薬は現在のところありませんが、不快感を軽減するために処方されます。
- 代謝改善薬・循環改善薬:内耳の血流や神経の働きを整えます。
- 漢方薬:体質(証)に合わせて、水分代謝を整えるものや自律神経を安定させるものが選ばれます。
- 抗不安薬・睡眠導入剤:耳鳴りによるストレス、不安、不眠が強い場合に併用されます。
音響療法(TRT:耳鳴再訓練療法)
TRT(Tinnitus Retraining Therapy)は、Pawel J.Jastreboffによって唱えられた耳鳴の生理学システムに基づいた治療法で、1990年代に入ってから始められた比較的新しい方法です。それまで有効な治療法がなかったこともあり、欧米では急速に普及し現在主流になりつつあります。
「耳鳴りを消す」のではなく、脳を慣れさせて「気にならない状態」にする治療です。
- サウンドジェネレーター:補聴器のような形をした装置で、不快ではない雑音(ホワイトノイズなど)を流し続けます。

- 環境音の活用:日常生活でテレビ、ラジオ、自然音などを流し、静寂を作らないようにします。

心理療法・カウンセリング
耳鳴りへの「過度な注目」や「恐怖感」を取り除くアプローチです。
- 認知行動療法:「耳鳴りは恐ろしいものだ」という捉え方を修正し、生活の質(QOL)を改善します。
その他のアプローチ
- 補聴器の装用:難聴がある場合、補聴器で周囲の音をしっかり入れることで、脳が耳鳴りを相対的に小さく感じるようになります。
- 生活習慣の改善:適切な休息、適度な運動、カフェインや塩分の制限など、神経を過敏にさせない工夫が有効です。
重要なポイント
治療の第一歩は、まず専門医による聴力検査です。耳鳴りを感じる方の多くに自覚のない難聴が隠れていることがあり、そのタイプによって最適な治療法が変わります。
注意すべき「危険なサイン」
以下のような症状が一緒にある場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診することをお勧めします。
また、「突然聞こえが悪くなった」「めまいがする」といった状況であれば、突発性難聴などの可能性もあり、早期の治療(発症から1〜2週間以内)が非常に重要になります。無理をなさらず、専門医に相談してください。
- 急激な聴力低下(聞こえにくさ)
- 強いめまいを伴う
- 片耳だけに強く感じる
- 拍動性(心臓の音に合わせて聞こえる)
日常でできる対策
- 静かすぎる環境を避ける:無音だと耳鳴りに意識が集中してしまいます。BGMやテレビの音、川のせせらぎなどの環境音(ホワイトノイズ)を流すと楽になることがあります。
- リラックス:ストレスは耳鳴りを増幅させます。十分な睡眠と休養を心がけてください。
