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更新日:2022年6月24日
女性にとって乳がんは罹患率が高く、早期発見が大切です。春日井市民病院では乳腺検査をNPO法人日本乳がん検診精度管理中央機構の認定を取得した7名を含む女性技師11名が担当しており、精度の高い検査情報を医師に提供しています。
月一回の乳腺外科・乳がん学会認定医との症例検討会のほか、放射線診断医・病理医を交えた術後症例検討会などに参加し、精検施設の技師にふさわしい知識と技量を身につけるよう日々研鑽しています。
乳腺疾患にかかわる検査のうち、マンモグラフィ、乳房超音波検査は女性技師専任により、安心して受診していただけます。
放射線技術室では、人工知能(AI)技術を搭載した、高画質・低被ばくの3Dマンモグラフィ装置
「FUJIFILM社製 AMULET Innovality Excellent-m 3D」
を導入し、平成28年9月20日から稼働しています。
従来のマンモグラフィではX線を一方向からのみ当て、乳房を平面的(2D)に画像化していましたが、3DマンモグラフィではX線を多方向から当てることで立体的(3D)に乳房を画像化し、多くの断面で乳房内を観察することができるようになりました。
これにより、従来のマンモグラフィでは正常な乳腺組織と重なって発見しづらかった病変も、3Dマンモグラフィではよりよく見えるようになりました。
患者さんに負担していただくマンモグラフィ検査費用は、3D撮影を追加しても変わりません。
「乳房撮影(マンモグラフィ)」と「乳腺超音波(エコー)検査」は、特別な場合を除いて、乳房に異常を感じて病院を受診されたすべての方に受けていただきます。
乳房のX線(レントゲン)撮影のことをマンモグラフィと言います。乳房は体の表面にあり、また、軟らかい組織でできているため撮影に適した専用のX線装置を用います。
乳房全体が撮影フィルムの中にもれなく写し出されるよう、左右それぞれの乳房に縦から(頭尾方向:CC)と斜め横から(内外斜位方向:MLO)の2方向、合計4回の撮影を行います。
必要に応じて3D撮影・スポット撮影・拡大撮影などさまざまな撮影法にも対応しています。
しこりはもちろん、乳がんの初期症状の一つである微細石灰化を写し出すことができるのが優れた特徴です。
X線撮影なので、若年の場合・妊娠している場合には被ばくを避けるために検査を見合わせることもあります。妊娠の可能性のある場合は医師にお申し出ください。
また、豊胸手術後の方はマンモグラフィの撮影ができない場合がありますので、必ず医師にお申し出ください。
ただし、当日の女性技師の配置によっては撮影受付から撮影開始までしばらくお時間をいただくこともありますのでご了承ください。
当院放射線技術室では、日本乳がん検診精度管理中央機構の技術部門認定・施設画像認定を取得しております。どうぞ安心して検査をお受けください。
超音波検査は、超音波という人間の耳には聞こえない波長の音を機械から発し、臓器に音を当てて返ってくる反射の様子を画像にしているものです。山びこ(エコー)と同じ原理のため、超音波検査のことをエコーと呼ぶこともあります。
探触子(プローブ)と呼ばれる幅数cmの機械を直接乳房にあてて検査を行います。マンモグラフィのように一度に広い範囲は観察できませんが、乳房の上で機械を動かしていくことにより乳房全体の断面像を観察していきます。
超音波検査は、マンモグラフィには写りにくいしこりを見つけたり、見つけたしこりの形・大きさ・辺縁・内部の様子などを詳しく観察できるのが特徴です。必要に応じてエラストグラフィやカラードプラ法を使用することで、手に触れない乳がんや、しこりを作らない乳がんを発見することもできます。
超音波検査は放射線ではなく音を使っていますので、放射線被ばくはありません。
がんは一般的に良性のしこりより硬く、細胞分裂が盛んで血流も多いので、「エラストグラフィ」と「カラードプラ法」が診断に役立ちます。
「エラストグラフィ」は探触子(プローブ)でしこりを軽く押し、変形の度合いをカラー画像にして表示するものです。
変形が多いところは「軟らかい」として赤く、変形が少ないところは「硬い」として青く表示されます。
「カラードプラ法」は血液の流れをカラー画像にして表示するもので、原理は通り過ぎる救急車のサイレンの音程が変わるのと同じです。
探触子に近づいてくる血流は赤色、遠ざかっていく血流は青色で表されます。
このほか、放射線技術室では精密検査としてMRI検査、手術前の検査や経過観察としてCT検査、アイソトープ検査(骨シンチグラフィ・センチネルリンパ節シンチグラフィ)、骨密度検査、乳房温存手術後の放射線治療などを行っています。
「マンモグラフィ」「乳腺超音波検査」以外の検査・治療については男性技師の担当となることがあります。あらかじめご了承ください。
春日井市民病院は乳腺疾患の健診業務は行っていません。自覚症状のある方、かかりつけ医からの紹介の方、もしくは人間ドックなどの健診で精密検査が必要な方を対象としています。ご了承ください。
A.乳房を「引っ張ったり」「広げたり」「押さえたり」するからです。
A.人の体は曲面で、マンモグラフィ用のフィルムは平面ですから、両者を隙間なくぴったりくっつけるということはもともと不可能です。
しかし、図のようにちょうどこの隙間の部分に乳がんなどのしこりがあった場合、写真に写らないからしこりがあっても発見することができません。
胸の筋肉と乳腺はなかなか伸びたり動いたりしませんが、幸いなことに筋肉と乳腺の間の脂肪は伸ばしたり動かしたりすることができます。
こうして乳房を引っ張ることにより乳腺の後ろの脂肪を伸ばして乳腺の隅々まで写真に写りこむようにしているのです。
A.乳腺は乳頭を中心に開いた傘のような形をしています。
図のように、乳腺がうまく広がっていないと、乳腺の重なりで中に何かあってもよくわからなかったり、見えなかったりしてしまうため、しっかり広げるようにしているのです。
A.乳腺と乳がんなどのしこりの写真上の濃度差(白黒の差)はとても小さく、まわりの乳腺が厚いとしこりがあってもよく見えなかったり、見つけられなかったりすることがあります。
乳房を押さえてまわりの乳腺を薄くすることで、しこりを発見しやすくしているのです。
私ども撮影技師も必要最小限の痛みで最も良いマンモグラフィが得られるよう日々研鑽してまいります。
どうぞご理解とご協力をお願いいたします。