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更新日:2018年12月8日

アブレーション

診療科:循環器内科

心臓は血液を全身に送り出すポンプの役目を果たしています。このポンプの働きは心臓が正常に拍動することで効率良く血液を送り出しています。心臓の拍動は心電図でおわかりのように電気刺激で動いています。正常な心臓の拍動は電気刺激が心臓の洞結節から心房、房室結節、ヒス束、心室、左脚・右脚、プルキン工線維へ伝わっていくことで成し遂げられますが、この刺激伝導系(電気刺激の伝わる道)に障害が生じると心臓の動きが乱れて不整脈になります。不整脈は「脈が遅くなる不整脈」と「脈が速くなる不整脈」に分けられますが、脈が速くなる不整脈は刺激伝導系に余分な電気の発生源や電気の流れる道ができることが原因となるので必要でない電気の流れる道を心臓の中から焼き切るアブレーション治療の対象となります。治療の対象となる不整脈は発作性上室性頻拍(房室回帰性、房室結節回帰性)、心房粗動、心房拍動、心房細動、心室頻拍などですがアブレーションを行うべきでない場合もございますのでご相談ください。

 

アブレーション図

WPW症候群(房室回帰性頻拍)

正常の刺激伝導系(正常伝導路)の他に興奮刺激が心房と心室とを逆方法に伝導する異常伝導路(副伝導路)が存在するために、一度心室に伝わった興奮刺激がこの副伝導路を伝わって再び心房に戻ってしまう頻拍です。興奮刺激が回路を回り続けてしまい、心房と心室が絶え間なく拍動し、頻拍性不整脈となってしまいます。この異常な部分を焼灼して治療を行います。

房室結節回帰性頻拍

この頻拍では正常伝導路の房室結節の中に伝導速度の異なる2つの経路が存在します。その伝導速度の違いから速い経路と遅い経路との間に旋回路が出来てしまい、興奮刺激が房室結節内を旋回して心房と心室を絶え間なく拍動しさせる頻拍性不整脈となっていしまいます。この異常な部分を焼灼して治療を行います。

心房粗動

この頻拍の多くは右心房内を大きく旋回する異常な興奮回路に起因します。心房を1分間に250~300回刺激させる不整脈ですが、実際には心室までこの異常興奮刺激が伝導するのは、その何分の一ですので心臓の拍動が250回になったりすることはありません。この旋回路の一部を興奮刺激が通らないように線上焼灼して治療を行います。

心室頻拍

心室は心臓から血液を送り出す重要な働きをしています。心室頻拍は心臓のポンプ機能に障害を起こす致死的な頻拍の1つです。この頻拍は原因となる病気がはっきりしていない特発性心室頻拍と心臓の他の病気が原因で起こる二次性心室頻拍に分けられます。特発性心室頻拍は心室内の異常興奮によるものが多く、アブレーション治療はこの異常興奮部位を焼灼して治療を行います。二次性心室頻拍は心筋梗塞、心筋症などによって障害を受けた心筋の周囲に興奮刺激の異常旋回路が形成され、この回路を興奮刺激が旋回して心室を頻回に拍動させてしまう頻拍です。他の頻拍と異なり、異常旋回路の形状・大きさなどに違いがあり、治療においては難易度の高い頻拍です。

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