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更新日:2026年6月18日

泌尿器の腫瘍

泌尿器科領域の腫瘍とは

腎臓膀胱腎盂・尿管前立腺など、尿の生成から排出に関わる臓器、および精巣に発生するものを指します。それぞれについて、説明していきます。

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腎臓がんとは

腎臓の細胞ががん化したもので、初期には自覚症状がほとんどないのが特徴です。近年、健診や他の病気の検査で行われる腹部超音波(エコー)やCT検査によって、偶然早期に見つかるケースが増えています。

主な特徴と症状

以前は「血尿」「脇腹の痛み」「お腹のしこり」が三徴候と呼ばれていましたが、これらが出るのは病状が進行してからであることが多いです。

  • 早期:ほぼ無症状
  • 進行時:血尿、背中やくぼんだ脇腹の痛み、食欲不振、体重減少、発熱など

治療方法

がんの大きさや広がり(ステージ)に合わせて、最適な方法が選択されます。

1. 手術療法(標準的な治療)

  • 腎部分切除術:がんの部分だけを取り除き、腎機能を温存します。特に小さな腫瘍(4cm以下など)が対象です。
  • 腎全摘除術:片方の腎臓をすべて摘出します。
  • ロボット支援手術:近年、身体への負担が少ないロボットを用いた手術が広く普及しており、精緻な操作が可能です。当院では最新のロボット手術支援装置Hugoを使用しています。

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2. 薬物療法(転移がある場合など)

手術が難しい場合や再発・転移がある場合には、以下の薬が中心となります。

  • 分子標的薬:がんの増殖に関わる特定の分子を狙い撃ちします。
  • 免疫チェックポイント阻害薬:自身の免疫力を高めてがんを攻撃します。

3. その他

  • 低侵襲治療:小さながんに対して、針を刺す「凍結療法」「ラジオ波焼灼療法」などが行われることがあります。
  • 経過観察(アクティブ・サーベイランス):非常に小さく、進行が極めて遅いと予想される場合に選択されることがあります。

日常生活で意識すること

腎臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれます。早期発見のためには、定期的な健康診断(特にエコー検査)を受けることが非常に重要です。また、リスク要因として喫煙、肥満、高血圧などが挙げられるため、生活習慣の改善も予防の一助となります。 

膀胱がんとは

膀胱の内部を覆っている「尿路上皮(移行上皮)」という粘膜から発生するがんです。

  • 男女比:男性に多く、女性の3〜4倍と言われています。
  • 年齢層:60代以降の高齢者に多く見られます。
  • 最大のリスク要因:喫煙です。喫煙者は非喫煙者に比べて、発症リスクが2〜3倍高まるとされています。

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主な症状

最も一般的なのは、「痛みのない血尿(無症候性全血尿)」です。

  • 無痛性血尿:痛みはないが、尿に血が混じる、あるいは全体が赤くなる。
  • 膀胱刺激症状:頻尿、排尿時の痛み、残尿感(膀胱炎と似た症状)

※ 注意点:血尿が一度出ても自然に止まることがありますが、がんが消えたわけではないため、早期の受診が重要です。

分類(進展度)

治療方針を決める上で、がんがどの程度深く入り込んでいるかが重要です。

  • 筋層非浸潤性膀胱がん:がんが表面の粘膜にとどまっている状態。再発しやすいですが、内視鏡手術での治療が可能です。
  • 筋層浸潤性膀胱がん:がんが膀胱の壁(筋肉の層)まで深く入り込んでいる状態。転移のリスクが高まり、より積極的な治療が必要になります。
  • 転移性膀胱がん:リンパ節や他の臓器(肺、骨、肝臓など)に転移している状態

検査と診断

  1. 尿検査・尿細胞診:尿の中にがん細胞が含まれているかを確認します。
  2. 超音波(エコー)検査:膀胱内の腫瘍の有無を確認します。
  3. 膀胱鏡検査(内視鏡):最も確実な診断方法です。尿道から細いカメラを入れ、直接内部を観察します。
  4. CT/MRI検査:周囲への広がりや転移がないかを調べます。

治療方法

がんの進行度に合わせて選択されます。

  • 経尿道的膀胱腫瘍切除術 (TURBT):内視鏡を用いて腫瘍を削り取る手術です。検査と治療を兼ねて最初に行われることが多いです。
  • 膀胱内注入療法:BCG※や抗がん剤を尿道から膀胱内に直接注入し、再発を予防します。
  • 膀胱全摘除術:浸潤性のがんに対し、膀胱をすべて摘出します。この場合、尿の出口を新しく作る「尿路変成術(ストーマや代用膀胱など)」が必要になります。
  • 薬物療法:転移がある場合、免疫チェックポイント阻害薬や抗がん剤を用いた治療が行われます。

※ 「上皮内がん(浸潤していない非常に早期のがん)」に対して、がん細胞を攻撃する免疫の力を強めるBCG(ウシ型弱毒結核菌)という薬剤。

注意点

血尿がでたら、すぐに泌尿器科へ受診してください。 

腎盂・尿管がんとは

腎臓で作られた尿が通る「尿路」の内側にある尿路上皮という粘膜から発生するがんです。同じ尿路にできる「膀胱がん」と性質が似ており、これらを合わせて「上部尿路上皮がん」と呼ぶこともあります。

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主な症状と特徴

  • 血尿:最も多い症状で、痛みを伴わない無痛性の血尿が特徴です。
  • 痛み:がんが大きくなって尿の流れが滞ったり、血の塊が詰まったりすると、背中や脇腹に痛み(背部痛・側腹部痛)を感じることがあります。
  • 多中心性:尿路上皮は腎盂から尿管、膀胱まで繋がっているため、これら複数の場所にがんが同時に、あるいは時期をずらして発生しやすい性質があります。

診断と検査

確定診断のためには、画像検査と細胞診が中心となります。

  • CT検査:造影剤を使用して、腫瘍の有無や周囲への広がりを確認します。
  • 尿細胞診:尿の中にがん細胞が剥がれ落ちていないかを調べます。
  • 逆行性腎盂尿管造影(RP):膀胱鏡を用いて、尿管の出口からカテーテルを入れ、造影剤を注入して詳しく調べます。同時に直接細胞を採取することもあります。

治療方法

がんの進行度(ステージ)や全身状態に合わせて選択されます。

1.手術療法

標準的な術式は「腎尿管全摘除術」です。がんがある側の腎臓と尿管、そして尿管が膀胱に繋がっている部分(膀胱袖状切除)をすべて摘出します。最近では、身体への負担が少ないロボット支援下手術や腹腔鏡下手術が普及しています。当院では最新のロボット手術支援装置Hugoを使用しています。

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2.薬物療法

転移がある場合や術後の再発予防として、化学療法(プラチナ製剤など)や免疫チェックポイント阻害薬が検討されます。

3.BCG注入療法

腎盂や尿管の「上皮内がん(浸潤していない非常に早期のがん)」に対して、がん細胞を攻撃する免疫の力を強めるBCG(ウシ型弱毒結核菌)という薬剤をカテーテルで直接注入する治療が行われることがあります。

注意点

このがんは治療後も膀胱内にがんが再発しやすい(約30〜50%)という特徴があるため、手術後も定期的な膀胱鏡検査による経過観察が非常に重要です。 

前立腺がんとは

前立腺がんは、男性特有の臓器である「前立腺」の細胞ががん化して発生する病気です。比較的進行が穏やかで、早期に発見すれば根治が期待できるがんの一つと言われています。

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主な症状

初期には自覚症状がほとんどありません。進行すると以下のような症状が現れることがありますが、これらは前立腺肥大症の症状とも似ています。

  • 尿の出が悪くなる(尿勢低下)
  • 尿の回数が増える(頻尿)
  • 排尿後に残尿感がある
  • 血尿が出る

さらに進行して骨に転移すると、腰痛などの痛みが出ることもあります。

検査と診断

  • PSA検査(血液検査):最も一般的なスクリーニング検査です。血液中のPSA(前立腺特異抗原)の値を測定します。
  • 直腸診:医師が肛門から指を入れ、前立腺の硬さや形を確認します。
  • 画像検査:MRIや超音波検査で腫瘍の有無を確認します。
  • 生検:前立腺の組織を採取して確定診断を行います。当院では、正確に細胞を生検できるBiojetシステムを導入しています。

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主な治療方法

がんの進行度(病期)や、悪性度(グリーソンスコア)、年齢、基礎疾患を考慮して決定されます。

  • 監視療法:おとなしいがんの場合、すぐに治療せず経過を観察します。
  • 手術療法:前立腺を摘出します。近年では、体への負担が少ないロボット支援手術が広く行われています。当院では最新のロボット手術支援装置Hugoを使用しています。

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  • 放射線療法:外照射や、密封小線源療法などがあります。当院では、前立腺がんの放射線治療を得意とするトモセラピーを導入しています。

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  • ホルモン療法(内分泌療法):男性ホルモンの働きを抑えて、がんの増殖を抑制します。 

精巣腫瘍(せいそうしゅよう)とは

男性の精巣に発生する腫瘍で、多くの場合、悪性(がん)です。

この病気の大きな特徴は、20代から30代の若い世代に発症のピークがあることです。一般的にがんは高齢者に多い病気ですが、精巣腫瘍は若年層で最も頻度の高い固形がんの一つとされています。進行の速い場合が多く、停留精巣(精巣が陰嚢内に入ってなくソケイ部などに留まっている病態)があると発生率が高くなることや、症例の3分に1程度に遺伝的因子が関与していると考えられています。

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主な症状

  • 無痛性の腫脹(しゅちょう):最も多い症状は、片方の精巣が痛みを伴わずに硬くなり、腫れてくることです。
  • 重だるい感じ:痛みはありませんが、下腹部や精巣周辺に重い感じや違和感を覚えることがあります。
  • 急激な進行:非常に進行が早いことが特徴で、放置すると短期間でリンパ節や肺などに転移することがあります。

特徴と診断

  • 治癒率が高い:悪性度は高いものの、抗がん剤治療(化学療法)が非常に効きやすいため、転移がある状態で見つかっても完全に治る(根治)可能性が高いがんです。
  • 自己検診が重要:入浴中などに自分で精巣を触り、左右の大きさの違いや硬いしこりがないかを確認することが早期発見につながります。

治療の流れ

  1. 高位精巣摘除術:まず、腫瘍のある精巣を摘出する手術を行います。
  2. 病理診断:摘出した組織を調べ、「セミノーマ(精上皮腫)」か「非セミノーマ」かを判定します。
  3. 追加治療:病理の結果や転移の有無に応じて、経過観察、抗がん剤治療、または放射線治療が行われます。

重要なこと

もし精巣に「左右で明らかに硬さが違う」「痛くないが腫れている」「しこりがある」といった異変を感じた場合は、恥ずかしがらずにすぐに泌尿器科を受診してください。 早急な対応が非常に重要な疾患です。

 

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