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更新日:2018年12月18日

耳鼻咽喉科の治療

眩暈(めまい)の治療

内耳には聴覚(きこえ)、平衡覚(体のバランス)の2つの役割があります。そのため内耳の障害で眩暈や難聴、耳鳴りが起こります。

メニエール病(遅発性内リンパ水腫も含む)は、眩暈を繰り返すうちに難聴が進行してしまう病気です。難聴は回復する場合が多いのですが、繰り返しているうちに固定することがあり、なるべく眩暈を繰り返さないようにコントロールすることが必要です。メニエール病の原因は、内耳の中にある内リンパ液という液体が過剰に貯まる『内リンパ水腫』だといわれており、増えすぎた内リンパ液が音を感じる細胞や体のバランスをとる細胞を刺激し眩暈や耳鳴り、難聴を起こすといわれています。

メニエール病の治療は薬物治療が中心で、内リンパ液の排出を促す利尿剤や循環改善剤、吐き気止めなどが使用されます。また、眩暈を増悪させる要因であるストレス、睡眠不足、肩こりに対する対処も必要です。しかし、このような治療ではめまいがコントロールできず、日常生活に支障をきたす方もみえます。

薬物治療に抵抗性の眩暈については、ゲンタマイシンという抗生物質を鼓室内(耳の中)に注入する治療が脚光を浴びています。ゲンタマイシンはその作用において、内リンパ液を産生する細胞を障害する事が分かりました。つまり、ゲンタマイシンを内耳に作用させることにより過剰な内リンパ液の産生を抑制するのです。この治療の有効率は、70~80%といわれていますが効果が不十分な場合は追加投与が可能です。しかし、治療後数%の割合で若干の聴力低下を認めることがあります。

この治療は基本的に入院し行います。鼓膜に小さなチューブを入れ、鼓膜を通して1日1回ゲンタマイシンを注入し、入れた方の耳を上にして約15分横になります。治療は4日間行いますが、難聴が起きた場合は治療を中断します。眩暈が無ければ治療終了翌日に退院できます。その後外来通院を要します。

耳鳴の治療(TRT)

はじめに

TRT(Tinnitus Retraining Therapy)は、Pawel J.Jastreboffによって唱えられた耳鳴の生理学システムに基づいた治療法で、1990年代に入ってから始められた比較的新しい方法です。それまで有効な治療法がなかったこともあり、欧米では急速に普及し現在主流になりつつあります。

私たちは多くの音に囲まれて生活しています。しかし、その中で音として意識しているのは1~2種類だけであり、他の音は聞こえているのに意識していません。これは、脳が有用な音、あるいは危険な音だけを無意識に選択しているからです。耳鳴が気になる方は、耳鳴が老化現象や難聴の前兆、脳腫瘍のような重篤な原因疾患があることによるのではないかとマイナスのイメージを持つことが多いようです。以前聞こえなかった音が聞こえたり他人には聞こえないのに自分にだけ聞こえるようになったりすると、恐怖や苛立ち、腹立たしさなどの特別な感情を持つことになります。一方、自動車や風の音などの音も耳に入ってきていますが、それは異常と意識しません。これは我々の脳がその音は無害であると認知し、意識まで到達しないようにしているからです。TRTは、耳鳴の音を自動車の音や風の音と同じように無害なものと認識し、意識しないようにするための治療法です。

治療方法

耳鳴の原因となる疾患の有無をMRIや脳波などで十分に検査します。治療の必要な疾患が見つかった場合はその治療を優先します。治療の必要な原因疾患がなかった場合にのみTRTの適応となります。TRTは、カウンセリングと音治療から成り立っています。まず、カウンセリングで耳鳴がどのようなもので、どのようなシステムで増悪し苦痛となるかを理解していただき、そのうえでTRTがどうして有効かを十分に納得していただきます。このカウンセリングは最初2週間に1回、その後1か月に1回程度予定します。それと同時に音治療も開始しますが、耳鳴に順応するためにノイズジェネレイターという器械を使用します。この器械はちょうど補聴器のような形をしており、ノイズ(ザーという雑音)を発生し、外からの音はそのまま聞くことができるようになっています。このノイズジェネレイターを用い耳鳴と同時に器械が発する雑音を聞くことで耳鳴自体が気にならなくなるようになっていきます。しだいに順応していき最終的にはノイズジェネレイターをはずした状態で耳鳴が気にならなくなれば治療は終了です。1~2年の治療期間が必要だといわれています。

治療効果

約8割の方に治療効果があり、他の治療で効果の無かった耳鳴についても有効性を認めています。耳鳴を完全に消失させる治療法はまだ見つかっていません。この治療法は耳鳴の大きさを小さくするのではなく、気にならないようにする治療法であることをご理解ください。

睡眠時無呼吸症候群の治療

10秒以上の呼吸停止が1時間に平均5回以上生ずる場合をいいます。重症例では低酸素血症により心筋梗塞・脳硬塞・高血圧などを、また高炭酸ガス血症により頭痛・人格変化・日中居眠りなどを生じ、快適な社会生活を妨げることがあります。

睡眠時無呼吸症候群は中枢型(脳の呼吸中枢の異常)と閉塞型(気道の一部が閉塞するもの)、及びそれらの混合型に分けられます。高齢者以外では閉塞型が多いですが、その型や閉塞型の場合には原因部位、血中酸素濃度、無呼吸の程度、自覚症状や睡眠の状況などによって様々な治療方法やその組み合わせがあり正確な検査が必要となります。
検査は、終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査というもので、睡眠中の呼吸状態や脳波などをみます。睡眠中の検査のため一晩の入院が必要です。また、普段の睡眠環境ではないことが欠点ですが、より正確な測定が可能です。簡易型アプノモニターはご自宅で行う検査であり普段の状況を測定することが可能ですが、簡便な検査であり、得られる情報が少なく不安定なため、結局PSG検査で確認しなければならない場合もあります。

治療方法

  • ダイエット:肥満による呼吸の負担を軽減します。
  • CPAP:鼻マスクから空気を送り、咽喉頭が塞がらないようにします。
  • 手術:扁桃腺やその周辺の構造を改善します。また、鼻の通気が悪い場合には鼻の手術を行うこともあります。さらにCPAPを行う場合は、手術によってあらかじめ鼻の通気を良くしておくと、より楽にCPAPを施行できることが多いです。
  • 歯科装具:マウスピースを装着することで咽喉頭の閉塞を防ぎます。検査結果に基づき、単独又は組み合わせて施行します。中でもCPAPはもっとも確実な方法ですが、治療を受ける方にあった設定などをする必要があります。また、一旦導入してからも体重や体調の変化によって設定が合わなくなってくる可能性もあり、月1回の通院が必要となります。CPAPによって皮膚炎、鼻やのどの炎症を生じたり、また風邪など別の病気が生ずると、一時的にCPAPを使えなくなることがあります。

アレルギー性鼻炎の治療

アレルギー性鼻炎に対する治療は、薬物治療をはじめいくつかありますが、近年レーザーを使用した治療が注目されています。くしゃみ、鼻水、鼻づまりといったアレルギー性鼻炎の症状は、アレルギーの原因物質(抗原)が、鼻内に入り鼻粘膜を刺激することでおこるといわれています。この粘膜をレーザーで蒸散、凝固することによりアレルギー反応の場である粘膜の反応性、過敏性を低下させることができます。この治療は特に鼻づまりに対しての効果が高いと言われています。その効果は、個人差がありますが約2~3年持続するといわれています。

レーザーによる治療にはいろいろな方法がありますが当院では1か月に一度のペースで3回行う方法を予定しております。一度に強くレーザーで治療した場合、鼻内にかさぶたがつき日常生活の妨げになることがあるからです。3回に分けて治療することにより術後の出血、痂皮(かさぶた)を予防することができます。花粉症のひどい方も適応がありますので一度ご相談ください。

レーザー治療の手順

  1. 最初に外来の診察を受け、手術の予約をします。当院では原則的に木曜日の午後に行っています。
  2. レーザーを行う1週間前に初回手術前の検査として感染症の検査をします。この検査には、B型肝炎、C型肝炎、梅毒、エイズの検査が含まれます。
  3. 手術は外来で行います。鼻の中に麻酔のガーゼを入れた後、鼻の粘膜をレーザーで蒸散、凝固します。レーザー治療を行うのは鼻の中の下鼻甲介の部分だけであり、5分程度で終了します。痛みはほとんどありません。
  4. 手術終了後、鼻のネブライザーをして1週間後の予約を取り終了です。一般にレーザー治療の後、2~3日鼻水が増えるため鼻水を押さえる薬を処方いたします。

レーザー治療の費用


一回のレーザーにかかる費用は3割負担で約10,000円ぐらいですが、処方する薬剤により少し変わります。

顔面痙攣の治療(ボトックス)

顔面神経が延髄からでる場所で動脈に圧迫されて生じるとされています。そのため、根治治療は神経血管減圧術ですが、軽症例や高齢者もしくは手術を希望しない場合にA型ボツリヌス毒素製剤であるボトックスの局所注射が適応となります。この毒素は、一般には食中毒を生じることで知られていますが、菌による感染が原因ではなく菌の産生した毒素によると考えられています。ヒトに対する致死量は3,000~30,000単位と考えられていますが、使用するのは10~30単位であるため安全と考えられています。

治療には、本剤を少量づつ痙攣している筋肉に局所注射することにより、過緊張している筋肉を弛緩させます。日本では薬剤を使用する許可を得た医師のみが使用できます。本剤の効果は、症状の強さや薬剤の投与量により異なりますが、通常は3~4か月継続しますので、3~4か月ごとに症状が増強するようであれば再投与が必要となります。治療の副作用は、閉眼不全2%、眼瞼下垂1.6%、頭痛1%、注射部位の腫脹1%、顔面神経麻痺0.8%であり、ほとんどが本剤の効果、効能によるものです。稀ですが角膜潰瘍、剥脱性皮膚炎の報告もあります。本剤にて効果が不十分である場合や長期的に症状が増悪する場合は神経血管減圧術の適応と考えられます。

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