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更新日:2026年6月10日
部門ごとにシステムが「サイロ化」しているものを、内製化した統合データ処理基盤を利用して生成AI、BIツールを活用することで病院運営の最適化を図っています。
病院では、電子カルテ、勤怠、会計、手術、物流や病床管理システムなど多くのシステムが別々に動いており、必要な情報が探しにくく、業務の無駄が生まれていました。そこで、InterSystems IRIS を中心とした統合データ基盤を構築し、病床の状況や患者の流れまで一元的に把握できるように整えました。情報が散らばっていた状態から、現場で必要な情報をすぐに見つけられる仕組みへと改善しています。これによって、病床稼働率を最大限まで高めることができ、救急患者の受け入れを容易にしています。


医療の情報は病院ごと、システムごとに形が違うため、連携や共有が難しいことがあります。当院では、HL7 や FHIR といった医療の標準を使い、電子カルテや病床管理システムの情報を決まった形に整え、正しくやり取りできる仕組みを実装してきました。さらに、国策である電子カルテ情報共有サービス(CLINS)を導入し、安全な形で他院と診療情報を共有する仕組みを整備しています。これにより、院内での連携だけでなく、地域全体の医療連携を支える基盤となっていきます。
AIを活用し、退院サマリー、症状詳記など、地域とつながるための重要な文書の下書き作成を支援しています。本来、医療従事者が情報整理や文書作成に費やしていた時間を、AIを活用することで、判断や加筆にのための時間に転換することを目指しています。結果、患者ケアや対話、地域連携など、医療の本質に集中できる時間を創出する取り組みです。

今後は、統合データ基盤とAIをさらに深く組み合わせて、病床管理や診療計画、退院支援までを自動的に補完する仕組みをつくりたいと考えています。地域の医療機関やCLINS、介護・介在サービスとも連携し、患者の移動や情報の断絶を減らす医療連携の「インフラ」を実現していきたいと考えています。データとAIが医療従事者の判断を支えるパートナーとなる、そんな未来の医療DXを目指しています。
医療におけるDXとAIの活用は、単なる業務のデジタル化や部分的な自動化のフェーズを超え、「医療提供モデルそのものの再構築」に向かっています。今後の将来像は、医療従事者の負担軽減と、患者一人ひとりに最適化された医療(プレシジョン・メディシン)の高度な両立です。
1.医療者の役割を変える「アンビエント(環境型)AI」
これまで医療者は、電子カルテの入力やサマリーの作成など、「データ入力と書類作成」に多大な時間を奪われてきました。将来の医療現場では、AIが背景に溶け込む(アンビエント化する)ことで、医療者が意識せずにタスクが完了する環境が標準化されていくと考えられます。
2.臨床の精度と安全性を極限まで高める「常時並走型AI」
診断や手術の現場では、AIは独立したツールではなく、医療者のスキルを拡張する「優秀な副操縦士(コパイロット)」として活躍すると考えられます。
3.全国医療情報プラットフォームによりシームレスな医療提供
標準型電子カルテの普及と「全国医療情報プラットフォーム」の構築により、医療データは病院の壁を越えて繋がります。
医療DXとAIを活用することによる効果は、医療の「効率化」だけではありません。デジタル技術が煩雑な業務を吸収することで、医療の現場に「恕(思いやりや共感)」の精神を発揮するための時間的・心理的余白を取り戻すことこそが、真の未来像と言えます。医療者に余裕が生まれれば、医療の安全やサービスも向上します。これが、最大の恩恵であり、その実現を目指しています。