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更新日:2018年12月8日

経皮内視鏡的胃瘻造設術

 消化器内科 望月 寿人

脳血管障害や認知症の進行に伴うなどによる嚥下機能障害などから経口摂取不良となった患者に対して経皮内視鏡的胃瘻造設術(以下PEG)を行う機会が増えています。当院においても年間約100例のPEGを行っており、本稿ではPEGの一般的な知識と当院の現状をお話したいと思います。

PEGの適応と禁忌

一般的には、正常の消化管機能を有し、1か月以上の生命予後が見込まれる成人および小児が適応となります。

【PEGの適応】

  1. 嚥下・摂食障害
    • 脳血管障害、認知症などのため、嚥下・摂食障害がある。
    • 神経・筋疾患などのため、摂食不能または困難
    • 頭部・顔面外傷のため摂食困難
    • 咽喉頭、食道、胃噴門部狭窄
  2. 繰り返す誤嚥性肺炎
    • 摂食できるが誤嚥を繰り返す。
    • 経鼻胃管留置に伴う誤嚥
  3. 炎症性腸疾患
    • 長期経腸栄養を必要とする炎症性腸疾患、特にクローン病患者
  4. 減圧治療
    • 幽門狭窄、上部小腸閉塞

【PEGの禁忌】

  1. 絶対的禁忌
    • 通常の内視鏡検査の絶対禁忌
    • 内視鏡が通過不可能な咽頭・食道狭窄
    • 胃前壁を腹壁に近接できない
    • 補正できない出血傾向
    • 消化管閉塞(減圧ドレナージ目的以外の場合)
  2. 相対的禁忌
    大量の腹水貯留、極度の肥満、著明な肝腫大、胃の腫瘍性病変や急性胃粘膜病変、横隔膜ヘルニア、門脈圧亢進、腹膜透析、がん性腹膜炎、全身状態不良、生命予後不良、胃手術既往、妊娠、説明と同意が得られない、などが挙げられます。

PEGの造設手技

当院では、全例X線透視下で行っているため、放射線透視室で施行しています。

麻酔は内視鏡を挿入するため、咽頭の噴霧式局所麻酔と腹部穿刺部の局所麻酔です。症例に応じて鎮痛・鎮静剤を併用しています。手術時間はおよそ10~15分です。

造設方法はPull法、Push法、Introducer法の3種類があります。

当院では、ほとんどの症例でPull法(図1)によって造設していますが、自己抜去の危険性が高い症例やがん性狭窄などにより通常のスコープが通過しないような症例では、経鼻内視鏡を使用し、Introducer変法(セルジンガーPEGキットまたはDirectイディアルPEGキット)で造設しています。

PEGの偶発症

  • 造設に伴う偶発症…誤穿刺(肝臓や横行結腸など)、出血、食道損傷など
  • 造設後の偶発症…カテーテルの自己抜去・事故抜去、瘻孔周囲炎・周囲壊死・皮膚潰瘍など、特に瘻孔形成以前の自己抜去は汎発性腹膜炎発症の危険性があるため、これを予防する目的で腹帯を着用しています。

経腸栄養が開始されるまで

当院ではPEG目的で入院される方はもちろんのこと、誤嚥性肺炎や脳血管疾患などで入院中にPEGが必要になった方に対しても、クリニカルパスを導入しています。これにより医療やケアの標準化、業務の効率化を図っています。手術日を含め3日間は感染予防のため抗生物質を投与します。術翌日、穿刺部の状態に問題がなければ、術後2日目より白湯を注入し、内服薬も粉砕して再開しています。術後3日目には経腸栄養を開始しますが、患者の状態に応じて経腸栄養の注入量や投与スピードを調整しています。

胃瘻カテーテルの種類、交換

胃瘻カテーテルには、胃内部の形状からバンパー型とバルン型、外部の形状からチューブタイプとボタンタイプに分かれ、これらの組み合わせで4種類に分類されます。(図2)当院では、造設時にはバンパー型チューブタイプです。(図2右下)

カテーテルは毎日使用するものなので、当然劣化が生じてきます。またチューブ内に栄養剤がこびりつき、細菌の感染も引き起こすため、定期的な交換が必要です。交換時期の目安は、バンパー型が4~6ヶ月毎、バルン型が1~2か月毎が目安です。バルン型については耐久性が弱いためカテーテルに問題が生じれば、随時交換が必要です。胃瘻造設後、初回の交換は、瘻孔が安定する4か月以上経過した頃をお勧めいたします。当院では、交換が比較的容易なバルン型チューブタイプ(図2右上)のカテーテルに交換していますが、患者や介護者の希望に応じて,バンパー型ボタンタイプ(図2左下)などへの交換も可能です。胃瘻カテーテルの腹腔内誤挿入を防止するため、透視下で交換を行い、交換後に造影剤を注入し、カテーテル先端が胃内にあることを確認しています。

また医療連携室を通じて胃瘻チューブ交換の予約が可能になっています。当院で造設、交換するカテーテル径は20Frとなっていますが、他サイズの交換が必要な場合も相談に応じますので、予約の際に伝えてください。

おわりに

消化管が使用でき、栄養補充の期間が長期に及ぶ場合、PEGは開腹手術による胃瘻造設術より低侵襲で、静脈栄養や経鼻胃管による栄養より優れた方法であることは明らかです。高齢化社会を背景として、今後PEGを行う機会はさらに増えていくと思われます。医学的・倫理的適応や社会的側面を加味し、より安全で、患者・家族に喜んでいただけるPEGを目指していきたいと考えています。

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